A, AN と THEの違い

Language

どのタイミングで “a, an” を使うべきで、どのタイミングで “the” を使うべきなのか教育系YouTuberの動画ベースにまとめていきます。

イギリス英語

まずは、英語学習ですごくお世話になっている動画、English with Lucy より。こちらの動画では9つのルールに分類しているので、1つずつ見ていきますね。

Rule #1 – “a” の発音

”a, an” と ”the” の違いではないのですが、発音からみて、冠詞 “a” には二つの選択肢があります。

  • /ə/:いわゆるschwaって音です。弱い感じの「ア」
  • /eɪ/:普通に「エイ」で

/ə/が一般的によく利用されるもので、/eɪ/については強意の際に使用します。

文脈を含めた例文は次の通りです。

Could I have /ə/ drink?:ひとつ飲み物いただけますか?に対して、二つの飲み物を持ってこられた場合にウエイターに、I asked for /eɪ/ drink.:私がお願いしたのは「ひとつ」ですよ。のように「ひとつ」であることを強調する場合に使用できます。

また、/eɪ/の発音はその他にももうひとつ使用されるケースがあります。

I think I’ll have /eɪ/ coffee.:えーと、コーヒーをいただこうかな。のような場合に話と話の間を埋めるような引き伸ばされた使われ方ですね。いわゆるフィラー (Filler words) というやつです。

ちなみに、日本人の気持ちはよくわかりますが、「あー/ə/」って音で間を埋めるのは、ネイティブ的にはあまりいい感じはしない、とのことなので少し意識しておくと良いかもですね。

上記はイギリス英語の場合の話です。アメリカ英語では地域にもよりますが、もう少し/eɪ/の音が会話でよく使われる傾向にあるようですね。

会話の流れを良くするためにぜひ二つの音を使い分けて使ってみてください。

また、”an” についても強音/æn/ と 弱音/ən/ があり、上と全く同じ使い方ができます。I would like /æn/ ice cream.:えーっと、アイスクリームをいただきたいです。のような感じですね。

まとめ:どんなニュアンスを伝えたいかによって “a, an” は発音を変えます。

以下はちょっと面白い単語があったのでメモです。

(2:51) This is because it is fairly easy to unlearn bad grammar habits, but it’s very, very difficult to correct bad pronunciation. :なぜなら、悪い文法の癖を捨て去るのは簡単ですが、悪い発音を直すのはとても難しいからです。

to make an effort to forget your usual way of doing something so that you can learn a new and sometimes better way:

Cambridge Dictionary: https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/unlearn

(5:28) You might hear us say /eɪ/ when we are contemplating or thinking about what we are going to say next.:英語話者が次に何を言おうか熟考しているときに聞くかもしれないですね。

to spend time considering a possible future action, or to consider one particular thing for a long time in a serious and quiet way:

Cambridge Dictionary: https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/contemplate

Rule #2 – “the” の発音

続いて “the” についてです。こちらも弱音 /ðə/ と強音 /ðiː/ があり、基本的には弱音 /ðə/ を使うことが多いです。

ただし、母音の音の前に “the” が来た場合には強音 /ðiː/ を使います。弱音 /ðə/ bag そして強音 /ðiː/ apple のような感じです。

ネイティブは強音 /ðiː/ を使う際には次に来る母音の前に /ja/(日本語だと「ヤ」に近い) の音を挟むようです。 これをintrusion (侵入する、以外にも音声学術的な意味があります) といいます。

また、上記、強音 /ðiː/ を使うべきタイミングは母音の音の前であって母音の文字の前ではないことに注意が必要です。

例えば、university /ˌjuːnɪˈvɜːsəti/ は確かに母音の文字 “u” からスペリングが始まっていますが、発音的には /ju/ の音から始まっています。

つまり、この場合は /ðə/ university というのが正解です。universe /ˈjuːnɪvɜːs/ も同様に、/ðə/ universe となります。それでは year はどうでしょうか、気になったらぜひ調べてみてください。

そして、”a” と同様に “the” についても、何かを強調したいときには強音 /ðiː/ を使うことができます。

例文は次の通り、If somebody told me that they met the Queen yesterday, I might say, “What, you met /ðiː/ Queen?”:もし誰かが昨日、女王に会ったって言ったら、きっと私は「なんだって?あの女王に会っただって?」っていうだろうね。

Queen は母音の音から始まっていないのに強音 /ðiː/ が使われていますね。

まとめ:次の音が母音か子音か、そして、強調するか否かで発音を変えます。

Rule #3 – “a” or “an”

子音の音の前では “a” を使い、母音の音の前では “an” を使います。学校でも習う基本ですね。”a” の例として、a hand, a man, a big dog、”an” の例として、an apple, an elephant, an excellent idea のような感じです。

母音の音の前では “a” ではなく “an” を使うことによって発声しやすくなります。 “a” event, “a” apple のような音はネイティブから見て発音しにくい音の並びのようですね。

確かに冠詞と単語の間で一度音を切らないといけないので、日本人的な感覚でも流れが詰まったような感じがあります。

まとめ:子音の音の前では “a”、母音の音の前では “an”

Rule #4 – 可算名詞の単数形

“a” と “an” は、可算名詞の単数形と共に使用しましょう。可算名詞には、単数形と複数形がありますね。例えば、one bag, 200 cats のような感じです。

“a” と “an” の用例は次の通り、a sunset, an open door, an amazing play, a hole, a university degree となります。ちなみに、university は母音の音ではなく、子音の音から始まっているので、”a” を使ってありますね。

ついでに、Rule #3の復習です。a university degree, a euro, an MSc (Master of Science:理系修士号). MScの発音は M /em/ から始まっているので、”an” を使うことに注意しましょう。

反対に不可算名詞は、water, salt tea, anger, love, darkness といった感じです。基本的に数えないので、”I have 4 angers.” なんて言わないでくださいね。

ただし例外もあって、”I’d like 2 waters.” や “I’d like 3 coffees.” のように言うことはできます。これは、暗に “I’d like 2 glasses of water.” や “I’d like 3 cups of coffee.” ということを意味しています。

水やコーヒー自体を数えているわけではありませんね。そんなわけで、”a” と “an” は、可算名詞の単数形でのみ使うことができます。

続いて “the” についてもみていきましょう。こちらは、”a” や “an” と違い、すべての種類の単語に対して使用することができます。the anger, the hole, the European Union, the end のような感じですね。

まとめ: 可算名詞の単数形には “a” や “an” が、それ以外には “the” が使えます。

Rule #5 – 受け手にとって明確?

“a” と “an” は、会話の聞き手や文章の読み手から見て未知のものに対して使用します。

一方で、”the” は聞き手や読み手から見て既知のものに対して使用します。ちょっとややこしく感じるかもしれませんが、以下で説明していきます。

例文です。I have a dog and a cat. The dog is golden and the cat is ginger.:私は犬と猫を飼っていてその犬はゴールデン(レトリーバー)でその猫は赤茶色です。

ここで、最初の文では “a” が使われていていますが、これは話し手が・書き手が初めて犬や猫に言及したためですね。この時点でこの犬や猫は聞き手や読み手から見てまだ未知のものですよね。したがって “a” が使われています。

次の文では同じ犬や猫を表していますが、こちらでは “the” が使われています。

これは、すでに最初の文で犬や猫に言及しており、聞き手や読み手から見て、その犬や猫は既知のものとなっているからです。どの犬や猫について会話をしているのかが明確になっていますね。

“a” や “an” は不定冠詞と呼ばれています。なにが話の対象となっているのかが明確に定まっていませんよね。それゆえ、「不定」冠詞であると考えれば自然だと思いませんか?

そして、”the” は定冠詞と呼ばれています。この時点ではすでに話の受信者もなにが対象かを明確に把握できています。つまり、定まっている。「定」冠詞、ですね。

例文です。I bought a new hat last year. The hat was red.:私は去年帽子を買いました。その帽子は赤色でした。 では、1つ以上の物や人の場合はどのようになるでしょうか。この場合にはもちろん “a” や “an” は使うことができません。

引き続いて例文です。I bought some new hats last year. The hats were red.:私は去年帽子をいくつか買いました。その帽子は赤色でした。 …なんだか日本語が数量に関して曖昧な言語のように感じてしまいますね。帽子が複数でも “the” を使うことによってどの帽子なのかが明確に定まっています。

上記の例文では、最初の文では “a” や “an” が使われており、次の文では “the” が使われていますね。しかし、常にそのようにしなければならないわけではありません。

しばしば、会話の受け手や文章の読み手は、話し手や書き手がなにについて述べているのかを推しはかることができますが、その場合にはいきなり “the” を使うこともできます。

例文として、Can I use the toilet?:トイレを使ってもいい? また、別の例文として、Can you shut the door?:ドアを閉めれる? このような会話の中では会話の受け手や文章の読み手は「どのトイレ」「どのドア」なのかを明確に定めることができていますよね?

トイレが建物の中に一つしかないようなシチュエーションかもしれないですし、ドアはこの部屋のドアかもしれないですが、それらは当然に明確になっていると思いませんか?

ついでにもう一つ例文です。The woman with the blonde hair is my mother.:そのブロンドの髪の女性は私の母です。 といった具合ですね。この文章ではいきなり “the” が使われていますが、どの女性なのかを明確にするための説明が加えられていますね。受け手は「どの女性」なのかを把握することができます。

まとめ:話の受け手にとって対象が明確であれば “the” そうでなければ “a” や “an” を使う。

Rule #6 – それは具体的?

冠詞 ”a” や “an” は、具体的でないものやはっきりと限定されていないものに使います。

違いを見てみましょう。

Do you have an eraser?:消しゴム持ってる? の場合には、特にどの消しゴムかは限定していませんよね。聞き手が持っているものであればどの消しゴムでも良いわけです。

対して、Do you have the eraser I gave you last week.:私が先週あげた消しゴム持ってる? の場合には、どの消しゴムなのかが明確ですね。先週あげた「特定の」消しゴムです。どれでもいいわけではありません。

もう一つ比較をしてみましょう。

I want to go on a cruise.:クルージングに行きたいです。 別にどんなクルージングでもいいわけです。限定されていません。

I want to go on the cruise we saw advertised.:広告で見たクルージングに行きたいです。 こちらはどれでもいいわけではありませんね。「広告で見た」ものじゃないとダメってことです。

まとめ:”a” と “an” はどれでもいいからどれか、”the” は具体的にこれと定まっているもの

Rule #7 – 分類、類型、専門職

“a” や “an” は何かの分類や類型、専門職について述べるときに使えます。

5つほど例文を見てみましょう。

Elaine is a feminist.:エレインはフェミニストです。  これはエレイン自身の属する分類やカテゴリーについて述べていますね。

I am a teacher.:私は先生です。 この場合、先生は専門的な職業を表していますね。

職業について述べるときは、”I am teacher.” や “I work as teacher” よりも “I am a teacher.” の方が一般的なようですね。ナチュラルな表現として覚えておきましょう。

他の言語では少し違った棲み分けがなされているようですが、少なくとも英語では分類や類型、専門職について述べるときに “a” や “an” を使うんですね。

He is an engineer.:彼はエンジニアです。

Our tractor is a John Deere.:私たちのトラクターはジョン・ディア(会社の名前)です。 メーカーの名前に “a” や “an” をつけて分類を表現できるのはおもしろいですね。”My car is a Toyota.” のような感じでしょうか。

He is an attractive man:彼は魅力的な男性です。 魅力的な男性ってカテゴリですね。

まとめ:分類や類型、専門職について述べるときは “a” や “an” を使う

以下、個人的に気になった単語のメモです。

(18:42) That’s its type or its make, its category.:これは、それのタイプや型式(またはメーカー)、カテゴリです。

a type of product or the name of the company that made it:

Cambridge Dictionary: https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/make

Rule #8 – それは一般的なものを指す?

複数形のもの一般や不可算名詞一般について話したいときは冠詞を使いません。

例文です。

Leather belts are expensive.:皮のベルトは高価です。

このように、冠詞を使わず広く革のベルトを複数形で言い表した場合には「革のベルト一般」を意味します。

上の例文と対になる例文です。

The leather belts are expensive.:その革のベルトは高価です。

定冠詞 “the” をつけることで、ある特定範囲のベルトや特定ブランドのベルト、といった意味合いを持たせています。

さて、別の例文も見てみましょう。

Do you like gin?:ジン(お酒)は好きですか?

この場合は、ジン(お酒)一般が好きかどうかを尋ねています。

こちらと対になる例文は以下。

Do you like the gin?:このジン(お酒)は好きですか?

こちらは、特定のジン(お酒)が好きかどうかを尋ねていますね。例えば、今まさにあなたが飲んでいるジンであったり、または、特定のブランドのジンであったりです。

まとめ:(複数形や不可算名詞を用いて) 広く一般的なことについて述べる際には冠詞は使わない

Rule #9 – そして最後は力づく

どのような場合に「冠詞を使わない」のかを知ることも重要です。

世界中の英語学習者が冠詞を「いつ使わないべきなのか」に手こずっていて、とっても難しいテーマみたいですね。さらに悪いニュースですが、たくさんの例外が存在します。

それでは、このテーマを理解するために重要なポイントと、数々の例外達についてみていきましょう。

一般的に、固有名詞には冠詞を使いません。

例えば、人の名前:Lucy, William, Nguyen, Mohammed など。

他には、祝日:Christmas, Easter, Mother’s Dayなど。”The Christmas” や “The Easter” と言わないように気をつけましょう。

みなさんご存知の通り、地理的なものについて述べるときにも基本的には冠詞を使用しません。ただし、もちろん例外は存在します。

国の名前:Canada, Englandなど。

州や郡の名前:California, Bedfordshire など。

都市の名前:London, Mumbai など。

大陸の名前:Africa, Europe など。

単一の湖:Lake Ontario, Lake Tahoe など。

単一の山:Mount Everest, Mount Fuji など。

スポーツの名前:Running, Football, Tennis, Badminton, Gymnastics など。

言語:English, Spanish, Urdu, Arabic など。

大学の名前:Harvard, Cambridge, Westminster Business School など。

ただし、”university” から始まる大学の名前には “The” を使います。 The University of York, The University of Reading など。

また、場所や位置、通りの名前には冠詞を使いません。Home, Work, School, Main street など。ただし、イギリス英語で「メインストリート」の意味を持つフレーズ “High street” は例外として “The high street” と冠詞を使うようですね。とってもややこしいです。

同じ場所や位置にも例外があり、The bank, The cinema, The hospital, The dentist, The doctor, The post office といったように使われるようですね。ただ、個人的には “The doctor” や “The dentist” は方言のような気がします。「医者のとこ」ってイメージでしょうか?

もうひとつ、「名詞+数字」の語順のフレーズでは冠詞を使用しません。Platform 9 3/4, Room 101 などです。”Platform 9 3/4″ はハリーポッターですね。9と3/4番線ってやつです。

最後に、基本的に Acronym : 頭字語 には冠詞を使いません。NASA, NATO などです。

ただし、例外としてそれぞれのアルファベットが別々に発音される場合には冠詞を使います。The UN, The EU, The US など。

さらに例外の例外として、大学名のAcronym : 頭字語 にはアルファベットが個別に発音されたとしても冠詞を使いません。UCLA, MIT など。

はい、最後はもうわけがわかりませんね。

まとめ:最後は力づくで覚えましょう!

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